高齢者の骨折は、ほとんど骨粗鬆症がベースにあります。
大腿骨頚部や脊椎によくみられます。
転倒が最も多いですが、ベッド柵、ドアに軽くあたるだけでも骨折してしまうことがあります。
強く打った覚えがないけど痛みや歩行困難などで受診して、骨折に気付く例が多いです。
大腿骨の骨折の第一選択の治療は手術ですが、高齢者は基礎疾患に心臓等々の病気があることが多く、手術に伴うリスクも大きくなります。入院で認知症状が急激に進むことも考えられると思います。
骨粗鬆症
骨がもろく折れやすくなる症状
身体の中の約1%は、骨以外の細胞や血液中に存在して、神経や筋肉の興奮、あるいは血液凝固(血を固める働き)などで大事な役割を果たしています。そのため、血液中のカルシウムが足らなくなると、不足分を骨のカルシウムで補うことになります。(骨吸収、骨破壊といいます)
骨は身体を支えるほかに、カルシウムの貯蔵庫としての役割を持ち、骨は作られる一方で絶えず破壊を繰り返しています。骨量の減少は、このような骨形成、骨吸収のバランスが崩れた結果です。
骨の中のカルシウムなどが減って、高齢になって背中や腰が曲がり、痛んだりします。
加齢によるほか、閉経に伴う女性ホルモンの不足も大きく影響するので、女性は50歳前後から骨粗鬆症が増加し80代では大半が骨粗鬆症であると考えます。
生活環境の整備が大事
階段、浴槽に手すりをつける
住居内の照明は明るくして
トイレ、廊下などに少しでも明かりをつけておく。
ベッドからの転倒予防で、ベッド幅はゆとりのあるもの、高さは腰かけて足裏が床につくくらいがいいと思います。
床は磨きすぎなくて、カーペットのふちはしっかり止め、たるみやめくれを作らないこと。
高齢者自身の注意点
衣類は裾を踏まない長さに調節しておきましょう
スリッパ、サンダルなどは履かないようにして、靴は、ヒールが低く、底の滑りにくい、運動靴を選びましょう
雨の日の外出はできるだけ避けましょう
骨粗鬆症の予防の為に、適度な運動や日光浴、カルシウムやビタミンDを重視した食生活を心掛けるのも大切なことだと思います。
骨折のリスクを減少させるという点で有用と考えられる薬物もありますが、副作用の報告もあり、用法に特別な配慮が必要になります。
理事長 黒田留未